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大学生やってます

おぞましい、とは

「同じ戸籍というだけで、おぞましい」

あなたはこんなことを言われたことがあるだろうか、もしくは発したことがあるだろうか、おぞましい、こんな強烈な、パワーワードを、自分の人生のなかで、使ったことがあるでしょうか。

 

 

私のママとパパはただいま、喧嘩中である。いや、喧嘩、というのは少しずれている。喧嘩は、互いが互いに怒っている状態のことであるからだ。だけどこの私のママとパパの場合、ママ「が」パパ「に」怒っている。パパは「怒られている」。これは「喧嘩」にはならない。ママの怒りによる、夫婦問題だ。

 

 

私はその場にはいなかったけれど、ママとパパは「話し合い」と称された、「ママによるパパへの文句」をしていたらしい。文句、というと聞こえが悪いけど、言わば「怒って」いたわけである。パパはなだめた。そらもう謝り倒してなだめた。しかしママの怒りは消えない。そんな時に、言ったのだという。「同じ戸籍というのが、もう、おぞましい」のだと。

 

 

おぞましい!

 

こんな言いようがあるだろうか、言われようがあるだろうか。「俺ね、なんも言えなかったよそれ言われたとき、ははは」。ママが家にいないとき、パパと喋っていた私はこの言葉を聞いて、笑ってしまった。2人して、小爆笑してしまった。おぞましいとは!私の人生の、まだ齢21年にしても、なかなか登場してこない単語である。それを、夫婦間で、使うことがあろうとは!まあ、夫婦といってもね、所詮は血の繋がらない他人ともいえるしね…にしても、それにしてもさあ!ゴ○○リじゃないんだから…と、いやしかし、笑わずにはいられない、これが笑わずにいられるか!

 

 

私のママは、怒り心頭になると、文字通りそりゃ手がつけられないほどになる。手当たり次その場でできることならなんでもするし、なにもかもほっぽり出して出ていくことだってする。だけど、2〜3日も経てば、しっかりとしたご飯を食べれば、ちゃんと睡眠をとれば、自然と回復してくる。失恋と同じなのだ。いつまでも心が死ぬことはない。死んでも、生きていかなくちゃいけないんだから。だからお腹は減るし、眠りに落ちる。ママは結局、パパに「ブチ切れて」、数日間家を空けたけれど、ちゃんと帰ってくる、ということは分かっていたので、私は安心できてパパを慰められることができた。

 

 

それにしても、おぞましいとは。なかなか、人生でであわないセリフである。これが笑い話になる日はくるのだろうか。私とパパはもはやネタとして使ってみたい気もするけれど、それをしたらまたママの反応がこわいので、これは私とパパの中でのブラックジョークのものにしておきます。