hellobonjour

大学生やってます

昨日のお客さん、その16

12月入って最初の金曜日は予約が4件も入って、どれも皆様ボックス席にお座りになられるかたばかりの顔ぶれなもんだから、ママさんとどうしようかと頭を悩ませるなどしていた開店前、もうその頃からアドレナリンは出ていて、忙しくなりそうな上に楽しくもあるだろうという期待と興奮があったので、シフトイン前にスタバへ寄って気合いを注入した。ほうじ茶ティーラテをトールサイズでシロップ抜き。シロップ入れないと甘くないし、紅茶にミルクを入れただけそのものになると思うので、今度アールグレイティーでもシロップ抜きで飲んでみようかな。

 

 

20時頃に一気に予約が入り込んできて、私はもうあたふたしないことに決めた。落ち着いて、確実に荷物と上着をあずかる。黒いカバンに黒いコート。どうしてみんなこんなに地味、いや落ち着いた色合いのものをもつんだろう。真っ赤なコートとかさ、イエローのジャンパーとかさ、ブルーのニットとかさ、もっとこう見てるだけで明るくなれるものとか着ないのかしらん、まあサラリーマンだから仕方ないんだろうけどさ、なんて思いながら。おしゃれな人はネイビーが多い気がする。というかネイビーがおしゃれにみせてるのかもしれない。

 

 

R子様がきて、でもテキーラは一滴も飲まず、グリーンティをひたすら。私にテキーラを勧め、「一杯飲みなさい、こんなね、こういう仕事は、酔っ払い相手にするんだから、シラフじゃやってられないわよ」とお声をかけていただいたので、ショットをぐいっと飲み込む。口に含んで、バックヤードで洗い流そうとしたけど、R子様が「このテキーラ(緑色のパトロンボトル)はね、次の日アタマ痛くならないの。残らないの」と言ったので、いいや、金曜日だし、気合い注入や‼︎(そういえばこの日2回目の気合い注入)と、エイヤッと飲み込む。じんわ〜あっと口から喉、頭にまでテキーラが染み渡り(まさに染み渡るといった表現が的確なんである)、私はR子様からの洗礼を受けた。くらくらと目の奥が熱くなるのを感じながら、心拍数が上がるのもわかり、高揚していくのがわかる。R子様は大ママオーナーがいないため早々にお帰りになられたけれど、電話番号を教えてもらったので、こんどゆっくりお話を聞かせてもらいたいと思う。

 

 

なんだかこの日はたくさんの人にシェイカーの振り方を指摘された日で、まどかさんと一緒に来たOKDさん2人が、私のシェイカーの振り方が正しくない、今度リキュールを持ってきてあげるから作っておくれ、だから練習しとくんだよ、と課題をいただいた。シェイカーを振っていても、中身はただの緑茶なんである。

 

久しぶりのTKDさんは、水曜日にきたKGYMさんのつながりの人で、私の名前こそは覚えていなかったものの、顔は知ってくれていたみたいだった。京大出身であるというTKDさんにも、シェイカーの振りを見られ、「京大通ってた頃、バーで2年くらい働いてたんや」と話していた。「カクテル30種類くらいは作れるで」と言うので、何にも作れない私は感嘆する。作ってもらう専門なので、とあほみたいなことを返す。「氷を入れたほうがええで、それで早く振るんや、溶けないように、そうすると薄まらないから味が変わらない」と教えてくれた。氷を入れると音が鳴るので、注目されるのがイヤだから入れないでいるんです…降ったあとに氷を入れてるんです…エセバーテンですんません…テヘヘ、てな感じでいるので、いつまで経っても上手く振れないでいる。シェイカーの音に反応して声をかけられることが多いので、なるべく目立たないように音を鳴らさずカウンターの下で振ることが多い。だって、だって中身はただの緑茶なんだもの…‼︎カクテルは誰かうまい人が作ってください、私のために‼︎TKDさんは中島みゆきの「時代」と「糸」を歌った。

 

 

TTYさんがSP会社の人を連れてくる。3人。あまり歌わない人たち、と思いきや、ユニコーンを歌う人を先頭にいろんな曲が繰り広げられていた。酔ったSP会社のひとは、「ワイングラスを頂戴」と赤のワイングラスを持って来させたかと思うと、焼酎「わらむぎ」をグラスに注ぎ、「こういう飲み方もあるんです」と言って、まきさん、ちはるさん、せいなさんに配った。見た目はワイングラスでおしゃれ、香りもいいけれど、中身は焼酎のストレートである。宴会が終わってグラスの片付けをしたら、ほとんどのみ残されていた。