hellobonjour

大学生やってます

君の名前で僕を呼んで、僕の名前で君を呼ぶ

「somewhere in North Italy」
北イタリアのどこかで

 

冒頭のモノローグにまずイチコロになりました。観てきました君の名前で僕を呼んで。邦題言うのに少なからず羞恥があるので原題「call me by your name」で通させて頂きます。

17歳の主人公ティモシー・シャラメ演じる少年エリオのパパは学者でしょうか。遺跡のような家の建築造には惚れ惚れを通り越して呆れてしまうくらい素敵な場所の中に、何千とある蔵書を携えて日々勉強している姿が見てとれる。ヴァカンス期間の6週間、パパの生徒である24歳のオリヴァーが居候にくる。思ったよりゴツくて正直私のタイプではない。私はもっとこうふわっとしたよう身軽な男の子が好みなのであって、まあそれは置いといて、オリヴァーは家に到着して早々食事もせずひとの(エリオが自分の部屋を貸すことに)ベッドにダイブ、ぐっすりと寝入る。靴を履いたまんまが、日本人の私にとって「ちょ!」とならざるを得なかったけれど、そこはエリオは気にしていなかったようなので、いいんだろうな、とひとり勝手に納得。よく見たら家の中みんなお靴履いてた。

 

朝。気持ちのいい朝とはこのことか、と言わんばかりの、陽の光が燦々と輝く下に敷かれたテラス、その上に並べられた食事の数々。起きてきたオリヴァーはママの定位置の席に着席し卵を割る。なかなか上手く割れずにお手伝いさんが割ってくれる。町を案内するエリオ。2人は自転車(この自転車がなんとも外国っぽい!軽々しくて洒落て見える)に乗ってバーに入ったり茶しばきしたりする。「じゃ、後で」と言い残して去るオリヴァーになんだか不服そうなエリオ。オリヴァーが居ない食卓で、「彼って失礼だよね、きっとここを出るときもさ、「後で」って言うんだよ。ハハン」と漏らしてはママにたしなめられる。

バレーボール。エリオの友達たちと遊ぶオリヴァー。草地で楽しむオリヴァーに熱視線を送る女友達。鬱屈そうな目で見るエリオ。何をそんなに気になっているの。オリヴァーはエリオの肩に触れる。体が硬い、リラックスしろとマッサージをする。離れるエリオ。気にしないオリヴァー。エリオはなんだかむしゃくしゃしている様子。

池で泳ぐエリオとオリヴァー。読書する彼ら。暑い日差しにまつ毛が光って見える。水がとても綺麗に見える。トランクスでうろつく。薄いブルーのシャツだけを羽織るオリヴァー。ラコステのポロシャツを着るエリオ。可愛いなラコステ。私も欲しい。ブルーのボーダー、シンプルで目に明るい青色。半パン。細い足がより一層夏の彼らを際立たせる。ダンス。真夏の夜のダンス。音楽。女。キス。踊るオリヴァー。女友達と絡む。ミュージックに酔う。夜に酔う。夏にも酔っている。見ているだけのエリオが、我もと騒ぎに交わる。ゆれる、じゃなくて、踊る。どうして夏の夜の踊りは全部お祭りみたいに思えるんだろう。

 

川。エリオはオリヴァーを、自分だけの場所に連れて行く。「知らないことはないんじゃない?」「大事なことは知らないんだ」「大事なことって?」「分かってるくせに」思わぬ流れ。告白はなんでもないところからひょっこり出てくる。ひょっこりはん。ディープ過ぎず、軽過ぎず。さらっと出して、さらっと受け止める。もっとドロドロになっているところが見たかったかも。女監督が撮ってたらもっと表情とか至近距離で映してたんじゃないかなと思う。でも彼らは、その場ではそうじゃなくとも、その後の展開でしっかり距離感を詰めていた。わざわざエリオの前で、エリオのママパパに向かって郵便局へ行ってきますと宣言して去るオリヴァー。時間差で、エリオは郵便局へ向かう。「僕がどんなに幸せだか分かるか」。ここら辺、もっとアップで撮って欲しかった。

 

もうすぐ訪れる別れ。行かないで、と涙ながらに訴えるエリオ。ラストのシーンが冬だったのはなぜでしょうか。焚き火を前に、後ろではクリスマスの準備をしている家族の動きがなおさらエリオの孤独感を色付けていて良かった。

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