hellobonjour

大学生やってます

愛の記念にを観ましたよっと

問い、付き合っている同級生の男の子がいるけれどバーで声をかけられた男と関係を持ったことから奔放になり夜遊びが止まらなくなった娘をどうしたらいいですか。アンサー、うるさく口を出さず見守っていましょう、追えば逃げるだけなので思春期だと思いそっとしておくのです。問い、付き合っている同級生の男の子とは満たされず声をかけてくれたアメリカ人兵士につられて一夜を共にしてからいろんな男の子と遊ぶようになったのですが事あるごとに口を出してきたり外出禁止令を下してきたりする両親をどうしたらいいですか。アンサー、あまり反発しても負のサイクルでしょうからほどよく言うことを聞いていた方がいいように思われます、たまには従ってこっそり遊んでいてはどうでしょうか。

他人のことだと思えば客観的な視点になれるし、最善な対応も分かる。でもそれはやっぱり“他人”のことだから冷静に判断できるのであって、彼女たちは他人ではない。ヒステリックな母親に加担する兄、帰りが遅くなると平手打ちする父親。容赦無く頬をぶたれる主人公のなんて小生意気で年頃特有の魅力さを兼ね備えた厄介な存在であることでしょうか。両親や兄にとって愛する家族のひとりであるのに言うことの聞かない問題児として疎ましくさえある。主人公の彼女にとっても家族のことはもちろん愛しているけれど、なんせうるさくてかなわない。こんなんなら出て行く方がマシ。一秒たりとも家に居たくないわ、と悪循環。喚くように騒ぐママと兄に愛想を尽かしてかパパが蒸発しちゃった。こんなやかましい所、逃げ出したくもなる。ヒステリーに拍車がかかるママに、一家の責任がいきなり押しかかる兄に、少女はどこにも逃げ場がなくなる。男との非行に走る。別にその男たちを愛してるってわけじゃないんだけど、得られる一瞬の安らぎと忘れられる少しの憂鬱さ。父親がいてもいなくても大差なかったんだろう、だけどそこには確実にパパの存在が見え隠れしている。いきなり帰ってきた父親の登場に一気に場が白ける家族の食卓。娘はパパの語る言葉に耳を傾ける。ママとパパと兄の激しい口論。結婚することになった娘の、なんと微塵も感じない幸福さだろう、こんなにまで結婚する花の乙女が嬉しそうに見えない姿があるだろうか。案の定彼女は間も無く別の男と逃避行を始める。物語は、そんな彼女を見送るパパとの別れのシーンで終わる。彼女はまた別の男を渡り歩くだろう、「愛されることしか考えていないんだね」と言われた少女は、ただ黙ってその言葉を飲み込む他ない。彼女にとってそれは絶望でも諦めでもなんでもない。一生満たされないでしょう心の隙間を、埋めてくれるのはパパでも男でもない。

 

 

「愛の記念に」モーリス・ピアラ監督 鑑賞記

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