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大学生やってます

笑顔と接客

「旅行、好きじゃないの」さらっと言い放った友達は、来年度就職先はグランドスタッフ。「成田と羽田、まだどっちにつくか決まってないんだよね」「どっちがいいの?」「どっちでも」「海外か国内か」「海外は、24時間営業だし、国内は、この前の関西の台風みたいのながくると対応大変だし」…。

 

パイロットと結婚したいわあ」とぼやく彼女は、高校時代からの仲で、年に数回、遊ぶ。数回といっても、3回も会えばいい方で、めったに会わない。大学も違うし、趣味も好みも違う。男の子の趣味は「薄顔すき」という一致だけであり、彼女は部活もしているので私とちがって大変忙しいのだ。集まるときは、だいたい年末に、「忘年会」と称して、最後に会ってからその時までの半年および一年の出来事(おもに男の子関係)を報告しあうのが通流になっているのです。彼女と会うのは去年の12月ぶりなので、はや10ヶ月。はやい。直接会わなくても、SNSで繋がっているので、なんとなく互いの状況は知っている、という感じ。ひさびさに会おう、となって、嫌いな新宿へ出向き、カレーを食べました。ナン食べ放題。友達はマンゴーラッシーの、私はふつうのラッシーを選択。チキンカレー、マトンカレー、キーマにほうれん草、と7〜8種類ものカレービュッフェに心躍らせながら、近況を語り合っていましたのさ。

 

 

「就職はどうなった?」という問いに、「グランドスタッフになるよ」という彼女は、確かに高校の時からたまに羽田空港までいって、降りてくる飛行機とかをみに行っていたなあ、と納得。さぞや旅行大好き!なテンションかと思いきや、「旅行、好きじゃないの」と一蹴されてしまった。あり?そうなん?「うん。家でゆっくりするのが一番好き」。そうなんだ、てっきりいろんな国とか地方とか、興味あるのかと思ってたけど…。「ううん、めんどくさいじゃん」。そ、そーなんだ⁉︎これは驚き新鮮、旅行の門に立つひとがみんな必ずしも旅行好きであるわけではないんだなあ、と新たな発見をしました。

 

 

いつも笑顔、そらもう笑顔、たとえ嵐が起こっても笑顔、クレームにも適度にいい笑顔、百円では足りない笑顔、スマイルサービスがありふれている中で、私がいつも思い出すのは、ウィーンでのお菓子屋さん。ザッハトルテで有名な「デメル」カフェへ行ったときのこと、ウェイトレスさんがみんな、真顔といえば真顔、ツンとすましているといえばツンとすましている、そんな表情で、黙々と、ひたすら、自分の業務をこなしてた。悪くいえばちょっと怖い、愛想のないことだけど、良くいえば、それは「無駄なお愛想をしない」ってことなんだろうな、と観察しまくった。そらもう見まくった。美人も可愛い人も、がんがん見つめた。彼女たちは無愛想な訳じゃなく、きちんとお客に対して任務を遂行しているだけ。だから挨拶とかおしゃべりの時にはにかっと笑うし、ちゃんと商品の説明もしてくれる。私もまねしようと思ったけど、そういうことをして許されるのは「仕事がきちんとできている」のが当たり前という土台があってこそなんだなあ、と気づく。仕事がきちんとできている人が、そんな風に自分のペースで、作り笑顔をせずとも接客、仕事をするに値するんだなあ、と思った次第。

 

 

そう考えたら、笑顔ってなんて強烈な武器だろうと思う。笑顔ひとつで物事が進むことももちろんあるということは、なんてすごいことなんだと改めて思う。笑顔の貼りついた表情の人と、笑顔になるときだけ出す表情の人を、私は思い浮かべて、接客ってなんだろう、とたまに考える。