別れちゃだめよ

「別れちゃだめ」  最愛の友人に言ったこの言葉ほど、無責任かつ自分勝手なせりふはないなあ、と、1人になってから考える。最愛の友人は遠距離の年上(社会人1年目)彼氏がいて、2人の仲は雲行き怪しくなりつつある。

とうとう彼女は先日、彼氏に「別れようと言った」というので、急遽会ってきました、彼女に。彼氏さんは北海道勤務、ついこの前彼女ははるばる彼氏さんの元へ遊びにいったのだけれど、仲の溝は深まってしまった様子。仕事で忙しいといって連絡をくれない、と嘆く彼女に、私はなにを言えただろう、なにも言えなかったです。まあなにかを言うこと自体間違っていて、私にはどうすることもできない、話を聞くことしかできない、なぐさめなんかむだで、第三者の慰めほど無意味なものはない。タスケテーと涙ながらに訴える彼女を、たすけることができるのは彼氏さんしかいないのである。もどかしや！

「別れた方がいいのかな」というLINEを送った彼女に対して、返ってきた彼氏さんの返事は、保留。保留って、どういうことだろう？「彼女としてみれない、自分も彼氏としてやっていくことはできない、ひととして好きだけど彼女としてはそうじゃない」。これって、どうなんだろう。つきあって1年少しのカップルは、どこもそうなんだろうか。「落ち着く」といった感情になるのだろうか。落ち着くということは好きではないということ？彼女としての好き、は、落ち着く、とは、違うものなのかな？私はわからず、なにも言えずにいた。なにも言わないのが正解なんだろうけど、でもなにか言わなくちゃ、と思って、でもなにもでてこなくて、ひたすらウーンウーンと唸っていた。

「でもね、自分から別れよって言ったのに、でも、別れたくないの、なんかどんどん別れたくなくなってるの！やっぱり別れたくないの」と彼女はいう。どうして？一般的に見たら、自分が別れようって言って、相手が煮えきらない態度だったら、「じゃあもうほんとに別れる！」と言ってむりにでも別れるパターンが多いと思うの。それか、保留のままでも、冷めていくというパターン。私はよくわからないけれど、まわりの話を聞いてると、そういう人たちがほとんどのなかで、彼女は、どんどん別れたくなくなっている。どうして？「わかんないよ〜」。また半泣きになって言う。かわいい、とてもかわいいその顔をくしゃっとさせて、彼女はひたすら落ち込み続ける。わーん！

「別れちゃだめよ」とにかくそう言う他なかった。だってなにが言えたの？別れたくないと言っているのだから、自分から別れるなんてしちゃいけない、出会いは大事だから、だってまた出会えるなんて、結ばれるなんて、そんな保証どこなもないんだから。今ある繋がりを、自分から断ち切っちゃだめ。無責任だけど、私はこう言うしかなかった。