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大学生やってます

タクシーを降ろされ、迷子inローマ(カパネール)

ローマのタクシーにて。「カパネールホテルへお願いします!」「オッケー」

数分後、

「ナンバーは?」「え?」「カパネールのどこ?」「いやあの、ホテルです、カパネールホテル」「なにそれ知らない」「え」「カパネールのどこ?番号は?」「え、なにそれ知らない…」

 

 

すでに見覚えのある道を走っているのに、どこだかわからない。たしかどこかで一本曲がるはずなのに、場所がわからない。どうしよう。カパネールはあっているんだけれど、そのカパネールというのは通りの名前であって、住所、つまり番地とかそういう「ナンバー」を、このドライバーさんは聞いているわけで、でも私はそんなことわからなくて、とりあえず「カパネールホテル 88」という住所しか知らなくて、そんなこんなしているうちに見知った道を通り過ぎてしまい、そして運賃メーターもどんどん上がって、しまいには手持ちの20ユーロを越して22ユーロになってしまった。

 

「ああ、もう、ノーマネー!アイドントハヴ・マネー!」

もはや半狂乱状態であった。ホテルにたどり着けない上に、本当にお金が底をついてしまっただけでなく、払えないことに。ここはどこ。集合時間はもうすぐだ。とりあえず、ここで降りてくれと言われる。なんてこった。すると、ドライバーが気の毒に思ったのか、20ユーロでいいから、と言ってくれた。20ユーロを払い、周りにはレストランが二軒、向かいにポツンとあるだけでなにもない。ゴダールの映画「ウィークエンド」での車事故シーンのような、「パリ、テキサス」のあの砂漠のような、「スワロウテイル」で偽札をばらまくシーンの時のような、あんな感じの雰囲気の場所にいたと思ってほしい。そこはもの悲しく、寂しさのある、少々不安になる道なりであった。立ち尽くす私に、ドラマのように雨が降ってくる。日本語で、どうしようどうしようと声が漏れながら、心臓はドキドキしているのに、頭はなぜか冷静で、多分状況的にやばすぎて本能ががんばってくれていたんだと思う、とりあえずひとに聞くしかない、なんとかしてホテルを聞こう、最悪スマホの電波を4Gに繋げて添乗員さんに電話をして迎えにきてもらおう、と考えていた。

 

 

通りにあったステーキハウスへ入ると、ランチ終わりの時間帯か、人がいなくて、受付にいたひとになんとか聞いても、わからない、と3人にも言われてしまった。もうこの時点で集合時間の5分前だった。さっさと出て、その向かいのレストランに飛び込む。

 

入って左側にいた女の店員さんに、カパネールホテルはどこですかと尋ねる。声も手も震えていた私を見て、店員さんはどうしたの、と心配してくれたのだけれど、それどころじゃなくて、とりあえずホテルの場所を聞きまくる。そしたら他の店員さんもきてくれたので、ホテルの場所を聞くも、私は半ばパニック状態になっていた。お水飲む?と言ってくれたのも断り、ただひたすらカパネールホテルの場所を聞く。

 

 

すると、レストランのドアの右側にあるテーブルに座っていたお客さんたちが集まってきて、女の人がどうしたの?と声をかけてくれた。ホテルに行きたいんだと言ったら、「ここからじゃ遠すぎる、タクシーは?」もうお金がないんです。「ここまでどうやってきたの?」タクシーで。「どこで降りたの?」そこらへんで…。

そして、タクシーの出来事をたどたどしながらも話す。「He said...he don`t know hotel」という風に、英検準二級取得者さながら、文法もめちゃめちゃなままで状況を伝えた。そしたら、その女の人の旦那さんらしき人も出てきてくれて、「ここからじゃ遠い、Long long road!」と言われる。もう、おおむねの方向を聞いて、そっちの方へ行くしかない、大丈夫、大丈夫じゃないけど、runningする!を答え、ありがとう、ごめんなさいと伝えて去ろうとした…。

 

 

f:id:tearosejuli:20181116122509j:plain(この時はまだ、タクシー乗車に同行してくれる同じツアー参加者を探していた時に撮った、不安を煽る曇り空とローマの街並みです。全然楽しめなかったな…)