hellobonjour

大学生やってます

さて、私の不安の序章バナシである

ポンペイ遺跡へ行き、ローマ市内に帰ってきた私は、夕飯はなにも食べずホテルへとそのまま帰宅し、不安を抱えながらせまいシャワーを浴びて考えていました。

 

「明日、どうしよう?」

 

 

話はすこし遡り、ホテルのロビーでのこと。最終日のローマフリータイムでは、もう朝から各自で行動が自由になっている。集合は同ホテルでお昼すぎ。それまではどこへいこうが、ローマ市内へ出ようがずっとホテルで休んでいようが各々である。といっても、ローマ市内へ行くひとがほとんどだったと思われる。だけど、そんなことであるから、バスは出ていない。ホテルは市内から車で20分ほど離れた郊外にあるので、タクシーを使わないといけない。それを聞いて、私は顔が青ざめた。タクシー?自腹でしょう?……

 

そう、私はフィレンツェで買い物をしまくった挙句、ポンペイ遺跡見学という追加オプションをしたためにもうほとんどお金が残っていなかったのだ。ざっと計算しても20ユーロもない。もってきていた日本円をなんとか両替所を駆け回って、やっとそれくらいになった。ああ、あの、ぼったくりのような両替所で、思わず日本語で「はあ!?」と声を出してしまったのはいうまでもない。あまりにあり得なさすぎる両替金に、こんなところで両替してしまったら何にもできない、と見切りをつけ、別の両替所を探すも、なかなか空いているところがなくて、やっと見つけた両替所はそれでも納得のいくものじゃなかったけれど、それでも先ほどの両替金よりマシであったのでなんとかそこで両替をしてもらった。それでもまだ、日本円で5000円ももっていないのだ。無一文も同然である。しかもひとり参加な上、クレジットカードなんてものももっていない。ローマ観光は諦めたかのように思ったけど、なぜか、なんとなく、「いける」と思ったのであった。そして、ホテルのロビーで、添乗員さんが「明日、市内へタクシーで行くひと、何人かで組んで乗った方がいいんじゃないかしら、予定決めて、そのほうが安く済むわよ」というのでだんだんと組まれていくメンバーたち。5人以上は追加料金がかかるというので、3人組はひとり参加と約束をしていたり。ああ、私はどうしたら?

 

 

と、こんなピンチな状況でさえ持ち前のぼんやりさでぼーっとしていたら、「一緒に乗りませんか」と声をかけてくれた、かの年下女子大生2人組、それに、何度か同行したことのあるおばさん(フィレンツェからローマに着いた日の夕食はこのおばさんとラザニアを食べた。)との約束で、明朝、モーニングを食べてすぐに出かけることとなった。女子大生2人は「あたしたち、朝早く出たいんですけど…大丈夫ですか?」とのこと。時間を聞くと、たしか7時半に出発したいとのこと。

まじか、起きれるかな…と不安になりつつも、乗りかかった船を逃すわけにはいかない。「もちろんです!(ニッコリ)」と意気揚々と答え、それでは明日、モーニングの後にこのロビーでお会いしましょう、おやすみなさい、と別れて、部屋に戻り、シャワーを浴びながら、どうしたものかと考えあぐねていたときだった。

 

 

部屋の電話のベルが、鳴った。

 

シャワーを浴びていても大きく鳴り響く、不吉のように感じたその音は、まさしく不吉なメッセージであった。

 

「あ、もしもし、◯◯(私)さん?お疲れ様です〜(添乗員さん)です〜。あのね、明日の市内行きのタクシーで、さっき誰と乗るかみなさん組んでもらったじゃない?それでね、あなたとあの女子大生の女の子2人と、(おばさん)さんと乗る組でタクシーを予約したんだけど、(おばさん)がね、朝、起きられそうにないから、他のひとと一緒に行きますって。だから、明日のタクシーは3人で乗ってもらうことになるわ、大丈夫?」

 

……え?

 

 

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夜のローマ市内の写真