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大学生やってます

タクシー事件、序章であるinローマ

さて、ローマである。

年下の女子大生2人組と一緒にタクシーに乗ってローマ市内へ向かうことになった私(泊まったホテルは市内から20分ほど車で離れた郊外であった。歩くと約1時間かかる計算。)は、ホテルのビュッフェでモーニングを食べ、ツアーの人たちとあいさつを交わし、ついでに「早起きできない」からと辞退されたおばさん(当初の予定ではこのおばさん含め4人で乗るはずだったタクシー)とも「おはようございます〜」と呑気に笑顔をかわされじゃっかんの腹立たしさを感じつつも、なんとかなるだろと腹を括ったのかタカを括ったのかわからないテンションで、3人でタクシーに乗り込んだ。

 

 

私が助手席に座り、年下女子大生2人は後部座席である。英語で、「スペイン広場に行きたい」と伝えるも、ちゃんと伝わっているか、ちゃんとその場に届けてくれるか不安で、なんとなく車内はシーンとしつつあった。口数少ない私たちをおかまいなしに、ドライバーはいまにも鼻歌をうたいだしそうな雰囲気ですらあったし、かかってきた談話には躊躇なく出るし、しまいには「今日はホリデーなんだぜ?リラックスしてこ〜や〜」と言われるし(もちろん英語で)で、最後には和やかなムードになってちゃんと目的地で降ろしてくれた。

 

問題は、まずここから始まる。タクシー代は20ユーロであったので3人で分けるとひとり約7ユーロ。痛い出費だったが、しかし何もしないでホテルで半日過ごすよりは断然いい。私が年上であるしすこし多めに払えればいいのだけれど、しかしそうするにはあまりにお金がなさすぎたので、ごめん、年上なのにきっちり割り勘でごめん…とか思いながら精算しようとすると、2人組の片っぽが「お金を下ろさないと、ない」と言うではないか。え?じゃあ、どうすれば…?

とりあえず、一旦タクシー代を払わないと、と私がその場で払い、3人でタクシーを降りる。朝方、まだ誰も歩いていないスペイン広場の前で、立ち尽くしていた。「お金を下ろさないと、ないんです。でも今の時間、銀行は空いてないからあと1時間ちょっと待たないと…」。聞けば、彼女たちは2人の間でお金のやりとりをしていたらしく、とにかく私はあと14ユーロ手元に戻ればなんの問題もないのだけれど、彼女たち同士でもお金のあれやこれやがあったみたいで、とにかく朝10時ごろに開くATMに行かないことには、私の手元に戻るお金がないということだけがわかった。

 

 

なんていうことだ。

 

 

オードリーヘプバーンのあの「ローマの休日」のシーンであるスペイン広場を見下ろしながら、私は呆然とした気持ちでいた。視界の端では年下女子大生が写真を撮る様子がちらちら見える。ATMに行ったらお金を降ろして返します!と言ってくれたので、とりあえずなんとなくだけど付かず離れずの距離でスペイン広場をうようよと漂っていたのであった。

 

 

天気は曇り、気分も曇りである。

 

 

晴れない気分でありとあらゆる方向、角度からスペイン広場の眺めを撮影するのにも飽きた頃に、ようやく、「お金、降ろしてきました〜!」と駆け寄って来てくれた彼女たちに礼を言い、さっさと次のコースへ意気揚々と向かう背中を見送りながら、このお金で私は何ができるんや…と軽い絶望を抱いて、ローマの地面を歩き始めたのであった…

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