hellobonjour

大学生やってます

グッバイファーストラブを観ましたよっと

ヴァカンスと聞いて浮き足立つフランス人のなんて微笑ましいことか、特別逃避したい現実があるわけでもないでしょうにどうしてそんなに長期休暇を求めるのか、まあでも大して勉強してもいないのに遊んでばかりなのに夏休みが待ち遠しかった学生の私たちと気持ちはそう変わりないのでしょうね、いつだって心のヴァカンスは何処かに用意しておかなくちゃ。

少年少女はヴァカンスを過ごす。海に山に別荘に、青春の跡をマーキングしていく。少年は旅に出るという。少女は行かないでほしいと懇願する。でも少年は少女のために生きているわけじゃない。反対に少女は少年のために生きていると思っている。だから彼にも同じ見返りを求める。「行ったらセーヌ川に自殺する」と脅し文句で引き止める少女。フランス人だからこそ言えるせりふ。日本人だったらどうだろう、「もし行く気なら、利根川に心中してやる!」とでも言うのでしょうか。どうも格好がつかないので天の川にでもしときましょうか。少年は泣くわ怒るわの彼女をなだめ、時にうんざりし結局行ってしまう。やりとりされる文通も、少年が別れを告げたことによりあっけなく交際終了。セーヌ川に身をぶち込みはしなかったものの、薬を大量摂取して自殺未遂する少女。そ、そんなに彼のことが好きだったのかと驚くよりは、彼に対して身を寄せすぎ負担かけすぎ周り見えてなさすぎなのではと呆れるばかり。でも、そうだよね、16歳の恋愛で周りが見えてるほうがおかしい。失恋した彼女は、「空間を捉えたい」からと建築の世界に没頭する。そこで出会う教師と恋仲になる。2人の向き合い方はとても大人で、ベリーショートヘアーになった少女はもう少女ではなくなっている。首筋から背筋まで凛としていた大人。結婚を控える彼女はかつての恋人と再会。少年、だった彼は良くも悪くも変わらず少年としてそこにいた。少女は初恋の人を振り切ることができない。過去の幸福の反芻。

帽子をもらったあの頃の少女はもういない、と告げるかのように風が帽子をさらっていった。川に乗せて流してしまった。彼女は気づかない。泳いでいる、一人で、かつて愛した人と戯れた思い出の場所で、さらさらと流れる川で、緑の葉っぱに反射する光を全身で受け止めて、初恋を完全に手放すことができないながらも自然に任せていこうと委ねるあのシーン。ラストにかかる「The Water」がとてもよかった。川の流れは時の流れ、戻らない戻せない切なさは、どうしたって耐えるしかない。

 ベリーショートヘアーの主人公が個人的にとても良かった

 

 

ミアハンセンラブ監督「グッバイ・ファーストラブ」鑑賞記

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