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大学生やってます

昨日のお客さん、その4

昨日はおとといと打って変わって忙しく、20時直前に2名ものお客さんがきたし、コンスタントに席が埋まったりして、せわしなくも楽しかったなあと思う。しっかりと銀座アスターで酢豚とチャーハンをたべ、GINZA SIXの地下にある辻利で抹茶ソフトクリームを食べるというなんとも充実した晩ご飯をすませたからでもあるでしょう。大ママオーナーに感謝です。

 

 

みかさんと一緒にきたHS先生は、私は初めましてなんだけど、「いやあ、ママさんがいないと、なんかこう、雰囲気ちがうねえ」とにこにこ周りを見渡していった。ママさんが20時過ぎてくるというのはたまにあって、そんなとき、お店の中はとてものびのびしているように思える。「ママさんがくると、こう、ピリッというか、緊張感がでてくるよね」。たしかに。ちょうど同じようなタイミングできたHDさんが、トイレに行きたいトイレに行きたいとはしゃぐのを大ママさんが笑いながらなだめていた。マキさんとえみさんがHDさんと話していて、HDさんは変わらず、「自分がいかに女房に尽くしているか」「いろんな遊びをしてきたか」「お金の使い方が正しいか」を語っていた。

 

HS先生はみかさんと日本酒をのんできたという。和食で、シメのお米がとにかく美味しかったらしい。「噛めば噛むほど甘くなるんだね、ああいうのは」といっていて、ああいいなあなんて会話に混ざったりした。

 

 

ひさしぶりにOTKさんがくる。相変わらず髪の毛が茶色い。というかほぼ金髪?「美容院が好きなんだ」というOTKさんは、かばんに、まどかさんが買ったキーホルダーをつけていた。かわいい、オールスターのグリーンのミニキーホルダーが真っ黒のかばんに揺れている。「おひさしぶりです、8月30日ぶりですね!」と挨拶をする。マキさんに、よう覚えとる!と笑われる。「ウォーターサーバーはご健在ですか?」「ああ、引っ越したんでね、浄水器をつけることにしたんだよ」。OTKさんは独身である。時計のためにイタリアへ行き、ドゥオモも見ないで時計を購入するだけで帰ってくるというなんともツッコミどころのあるひとなのである。以前話を聞いたところ、家にウォーターサーバーを置いていて、でも入れ替えがめんどくさいんだよなあとこぼしていた。となりに居合わせたお客さんINさんに、「ウォーターサーバーなんて必要!?」とつっこまれ、「だって、なんか、身体によさそうじゃないか!」と反論していたのだけれど、私以外のだれからも賛同を得られず、それから私はかげながらウォーターサーバーを応援している。健康そうじゃん、と素直にいうOTKさんを、私はわりと好ましく思っているのである。

 

 

K山さんがおひとりできた。浜松町でステーキを食べてきたらしい。いいな、お肉、と羨ましがると、こんど一緒に行こうという話に。「最後にガーリックライスを食べたの」ガーリックライス、食べてみたいものである。

 

 

NZKさんが珍しくひとりできて、カウンターに座る。大ママオーナーがとなりに座る。こちらもこちらで、「おれは飲みに来て女を口説いたりしない」「きょーみない」などとしょっぱなから大声で言い、いかに自分がいままで高いものを食べてきたか、いいものを食べてきたかをとうとうと語り、「もう吉野家とか、そういうのでいいよ、おれは」と言ってはマキさんが「ええ〜いいなあ、よっぽど今までいいもの食べてきはったんですねえ」とにこにこしていた。

 

 

MYGさんという、メグさんのお客さんが2人くる。ちはるさんが挨拶しにいった。そのあと、NGTさんとICさんがきて、ママさんが2人と話していた。最後まで残っていたのはNGTさんとICさんで、酔っ払っているのか陽気なだけなのかいまだに境目がわからない。

昨日のお客さん、その3

昨日、月曜はあまりに暇で、そらもう暇で、びっくりするくらい暇で、言い訳のない暇さで、腰が抜けるかと思うくらい暇ゆえに、暇疲れをしてしまい、終電の一本前の電車でさっさと帰ってきました。

 

 

雨も降ってたしね、月曜だしね、まあしょうがないとは思うんですけど、それにしてもひとの少なさはなんだ?帰りの電車はすいすい空いていて、押し潰されそうな人混みの窮屈さに眉をしかめることなく、強いていえばスマホの充電が切れたことにあーあとため息を漏らしただけで、最寄りにつき霧雨のなか寒さに身を縮こまらせ帰宅。

 

 

21時過ぎに4人1組が来たっきり、最後23時25分に1人お客さんが来ただけで、その日は終了。20時から23時過ぎまで、私はただひたすらバー内の掃除をしつつ、スマホを確認しつつ、たまにボックス席へ氷とミネラルと灰皿と炭酸を提供しに、時計の針とお店のドアを見ていた。あまりにも長い時間だった。

 

やることがなければ掃除、と、まずグラスを洗い、拭き、冷蔵庫の上を拭き、洗い場の汚れ取りにかかる。4隅に溜まるアカの、なんとおぞましいことか。排水口にこびりつくカビの、なんとおどろおどろしいことか。これが私の宿命か。いや違う、キッチンの宿命であり、私はなぜこんなことを…くう、お客さんがわんさか来てくれればこんなことも思いもしなくてよいものの…ハッ、いかんいかん、掃除嫌いと暇さゆえに、拭いても拭いても落ちないこの洗面台のねちっこいカビ汚れのように、つい私のねちっこい文句がもくもくと浮かんできてしまった。悔やんでやる。この汚らしいカビに、汚れに、来ないお客さんに、そんな気持ちにさせた今という現状に‼︎ああ、時は無常なり。1人でせっせとゴシゴシ洗う洗面台に映る自分の、なんと疲れ切った表情よ。聞こえてくる会話に面白さも見い出せなければ、鼻につく笑い声とて腹が立ってくる。はあ、眠いし、お腹すいてきたし、帰りたいな、もしくは素敵なお客さん入ってきたり、しないかな、MKさんとかさあ。

 

 

期待は裏切られ、とうとう23時を回ってしまった。ママさんに、「23時半に上がっていいわよ」と言われ、絶対に23時半きっかりに帰ってやると意味もなく意気込んで、片付けを始める。体が重い。ずっと立ってたり、やることがなくて大して動いていないとさすがにこたえる。眠い。だるい。えみさんが風邪気味で10分早く帰り、マキさん、まどかさん、じゅりさんも上がっていった。はて私はちゃんと23時半に終われるのだろうかと思いながら洗い物をしていると、23時半の5分前に、1人お客さんがきた。私はもうほぼ動かすことのできない表情筋を使い、それでも笑顔というには程遠い、口の端っこをあげただけで、絶望的な気分で、いらっしゃいませ、と、相手に届いたかわからないくらいの声を出すので精一杯だった。カバンや上着を預かりにいく気力もなかった。じゅりさんが承ってくれた。感謝である。カシューナッツのMMさんは先週もきて、なぜまたこの遅い時間に…と信じられない気持ちになる。みかさんが酔っ払いながらお酒を作り始めた。

 

 

23時半過ぎにお客さん4人が帰って、なぜこのタイミングで、とこれまた腹立たしくさえあったけれど、あまりの眠さと苛立ちで絶対に電車で帰ってやると野心を燃やし、エレベーターでお客さんをお見送りし、ちはるさんとおつかれ〜と言い合いながらお店に戻る。テーブルに置いてあるボトルやグラスに辟易しながらも、これを片付けないで帰るのはいかがなものかと、なんとか理性を振り絞り、バーまで持っていく。見送りにいったママさんが戻ってきて、上がっていいから、それと、ボトルは2本とったわよね、伝票には1本しかかいてなかったわ、と言われ、私は謝ったかハイと返事をしただけかは忘れてしまうほどの眠さとだるさと疲れを引きずって着替えをしにトイレへ入った。

 

ちはるさんはもう着替え終わっていて、おつかれ、こういう日に限って明日朝早いんだよね〜と笑いながら帰っていった。明日、つまり今日もシフトを入れたらしく、また会える喜びに、手をふって別れた。太陽のような笑顔は久しぶりにみても健全である。着替えていると、みかさんがトイレをしに入ってきた。「今日は早く帰れると思ったんだけどなあ〜」。はあ〜と、独り言のような、私に言っているような。「明日、朝、仕事なのよねえ、ごめん、何時からってかいてある?見えなくて」とスマホのスケジュールを確認すると、8時からとかいてあった。「目覚まし、いまのうちにかけておかなくちゃ…」大変だな、朝働いて、夜も遅くまで働いて。すごい。体力勝負だなと、目の前でまざまざと感じる。カシューナッツのMMさんはみかさんが呼ぶお客さんだけど、今日はどうやら違ったみたいで、私がきてほしいと思っているMKさんに連絡をしたようだけど、「最近、忙しいみたいで、土曜も仕事してるんだって」とみかさんが言っていた。残念。年内にもう一度会えるといいなと思いながら、顔がにやついてしまったのだけれど、酔っ払ったみかさんはそんな私に気がつかないままヘロヘロになっていた。今日は遠慮無しに帰らせていただきますとばかりに、終電に間に合うようにお店を出た。今日はたくさんいいひとがきて、楽しい時間が過ごせますように。

椎名林檎のオススメを、少しだけ

椎名林檎の良さに気づき出したんだけど、おすすめくれ」

高校時代の友達からいきなりインスタのDMが届き、私は脳内ですぐさま林檎嬢の音を再生した。自分のアイフォンのミュージックプレイリストを頭の中で操作する。

 

 

「おいしい季節」

「長く短い祭」

「いろはにほへと」

 

とりあえず、ほんとはもっとたくさんあるんだがあるんだがあるんだが、ううむ、とりあえずね、最近のものをね、たくさん送ると億劫になって聞かなくなるかもだから(私がそう)、と3つほどオススメを送らせてもらったんだけど、ああもう、どんどんと、あれもこれもとオススメが溢れてやまないので、ここに書き記したいと思います。

 

まず上記3つの良さ。

「おいしい季節」ぜひともライブ・バージョンでみてほしいです。真っ赤な衣装を着てうたう林檎嬢の、なんと麗しいことでしょう、そしてなんと素敵で計算しつくされたステージのライト・アップ方法でしょうと、目頭が熱くなる。ななめ後ろでギターを弾く浮雲さんも真っ赤なスーツを着ていて、林檎嬢のセクシーさを浮き彫りに際立たせている。ああ、ラスト、裾をまくりあげる彼女の、なんて濃密で儚い歌詞を叫ぶのでしょう、なんてほとばしる才能でしょうと、感極まって涙することが何度あったかわからない。おいで、ここへ急いで、時間が溶けてなくなるよと、〝旬〟がいかに〝旬〟であるかをとうとうと締めくくる素晴らしさに目眩がする。

 

 

とまでは言わず、友人には「ライブバージョンでみて」とのコメントを添えるだけに留めた。

 

 

「長く短い祭」これはですね、MVがとにかく格好いい。林檎嬢はテレビとして映っていて、カメラが追っている女性はモデルのようなダンサーなんだけど、この人も髪がショートカットで、くるくる踊るさまはまさに真夏のきらめく蝶って感じで、素敵。愛憎、という物語のシーンに戦慄します。歌詞の中の「ちょいと、女盛りをどうしよう」とうたう部分があるんだけれど、「我らの夏」と言いくるめることのできる夏を、毎年、体感したいと思う。

 

 

「いろはにほへと」これもまたカッコいい林檎嬢がMVで見れる曲。松下奈緒のドラマの主題歌に使われてたもので、和風の雰囲気でイカしてる。「黄色い百合よ何故、別れ際に笑ってる?永遠を欲するのは無為というの」の部分にシビれるよね。林檎嬢がひたすら横顔だけをみせて歩くだけなのにうっとりする。

 

 

他にも、

カプチーノ」ああ、これもオススメで送ればよかったと今からでも送りつけようかと悩むほど。かなり前に林檎嬢ともさかりえに楽曲提供として差し出して、最近になって林檎嬢が歌うのを配信したんだけど、この歌詞の、なんと甘く官能に満ちた、男と女の情緒を表していることだろうかと惚れ惚れしてしまう。「今度会うときはコートもいらないと、そんなに普通に言えちゃうのがわからない」冬がすぎて、春も会おうとする男のそんな些細な発言に、女は敏感になっている。「…ミルクの白に茶色が負けている」甘さと、コーヒーの苦味の比率。「全て味わって確かめて、イーヴンな関係になりたい」イーヴンとはつまり、対等な、ということ。微妙な駆け引きが垣間見えるようなやりとりの情景がいじらしいすぎる。

 

 

「二十一世紀宇宙の子」時代は君のもの、とでもいうような閃光さのある歌。未来に希望があるような気がしてくる、なのにラストには「悲しみもたずさえて生きてこう」と歌い上げる曲調にこれまたウットリ。

 

 

「きらきら武士」おふざけソングながらもめちゃくちゃ可愛い林檎さん。ライブ・バージョンでは浮雲さんとのコラボに胸がじゅくじゅくしちゃう。エロティックなムードを醸し出しながらも淫らではなく妖艶になるステージが魅力。

 

 

もっといっぱいあるのに、東京事変の歌なんかも引っ張り出したら「今夜はから騒ぎ」とか「能動的三分間」とか「透明人間」とか「スーパースター」とかもうたくさんたくさんあるのに、と、溢れるやり切れなさがいっぱいで、自分のプレゼン力を磨いて行こうと思った次第。ピックアップするのが難しい。どれもいい曲。どれも最高で最強で素晴らしい。そうそう、「この世の限り」なんかも聴いてほしいし、そこから映画「さくらん」にハマってほしいななんていう押しつけを、いつか私は誰かにしてしまうと思うんだ…

昨日のお客さん、その2

昨日は暇で、金曜日だというのに21時過ぎまでひとりもお客さんがこなくて驚いた。前日の木曜日はあんなに混んだのに、と暇疲れしてしまいそうな予感を胸に、ようやく3人のお客さんを迎える。

「貸し切りかよ!」の声に「貸し切りですよ!」と返すママさん。ボックス席に座る、1週間ぶりのHSさん。20時に予約を取っていたので、しきりにエミさんが「私、会ったことありましたっけ」と気にしていたけれど、多分しゃべったことはないと思います、はじめましてだと思いますと伝えておいた。特徴は?と聞かれて、恰幅のいいひと、と答える以外になにがあるだろう?来たらやっぱりはじめましてだったようで、よかった。

 

HSさんはスーツケースを持ってやって来ていた。仙台へ出張に行っていたらしい。いいなあ、ずんだ食べましたかと聞いたら、男ひとりさみしくずんだシェイクを飲んだよとおっしゃっていた。今度からスタンディング・ずんだが似合う恰幅のいいひと、と特徴をあげようと思う。

 

 

22時過ぎに、TSさんが5名で来た。HSさんたちをカウンターへ移し、TSさんたちをボックスへ。コルクをライターで炙って炭?を出し、顔に落書き(無精髭をあごひげ)をして楽しそう。「昔はみんなこうして遊んでたよなあ!」とはしゃぐ。ビール飲むか?と声をかけてくれたけど、ビールが飲めない上にワインしか飲まないのだとママさんが言ったところ、じゃあワイン飲みなよと言ってくれたので、おとといにリカーショップで買ってきたピノ・ノワールを一口、バー内で飲んでみたらあまりの美味しくなさにやめてしまった。1600円くらいの安物をテキトーに選んで買ってきてしまった自分に呆れる。悔しい。何度か「飲みなよ」と言ってくれたけれど、スルーしまくって結局なにも飲まなかった。お腹がすく。

 

 

23時にMNさんがくる。こんな時間に…と軽く絶望したけれど、20分くらいでおかえりになられた。さすがです。だらだらしないひとは好き。

 

 

マキさんが残って、0時過ぎまでTSさんたちと飲んでいた。タクシーで送ってもらうみたいで、私服に着替えてきた。みかさんが酔っ払っている。ママさんに、眠い?大丈夫?着替えておいで、と言われたので、仕事を終わらせて着替える。ちょうどお客さんがサザンの「真夏の果実」を歌っていた。この歌すき。勝手に切なくなる。歌い終わったところであいさつに行く。次の日朝早くから教習所があるからと先に上がらせてもらって、タクシーに並んだ。

昨日のお客さん

昨日はボジョレー解禁日であったので、私の大好きなワインが飲めるという素敵パラダイスなサ〜ズディ〜でもあったわけですが、20時に開店して早々、きてくれたお客様KKさんが、買い出しで寒くなった私をボジョレーワインを飲みながら出迎えてくれました。

「ワイン、飲む?」

こんなに心ときめく誘い文句があるでしょうか。思わずにこにこ笑みがこぼれる私に、マキさんが小さなグラスワインを持ってきて、ボジョレー用のミニボトル(375ml)を新たに追加し、注いでくださいました。

 

ボジョレーのワインと、そうでないワインという2種類を飲み比べて、ボジョレーではない方のワインが飲みやすくて美味しかった。ボジョレーの方は、渋みがあって、なのにぶどうジュースのような味わい。久しぶりにワインを飲めたテンションで、一気にくいくい進んでしまう私を、KKさんもまたにこにこと嬉しそうに微笑んでくださる。嬉しい…私は焼酎もウイスキーもビールも飲めないので、滅多にお店でお酒を飲むことはないのだけれど、こういうことがあると嬉しくて楽しくてテンションがじわじわあがってきてしまう。あと笑い声も大きくなる。でも仕事をしなくちゃだし、ヘロヘロになってしまったらママさんにもう飲んじゃダメと言われてしまうので、どれだけ飲んでもちゃあんと仕事はしますよ、というふうに、飲んでないとき以上にテキパキと動くようにしている。それとお水を飲むことも忘れずに。

 

 

まどかさんが別のお客さん(KBさん)と飲んでいて、ボジョレーの話題になっていたので一本いくら?とママさんに聞いたところ、3000円とのことでこちらでも2本飲んで飲み比べをされていた。まどかさんはお酒が強い。焼酎もウイスキーもがんがん飲むし、どれだけ飲んでも顔色ひとつ変えず、ずっと「まどかさん」のままである。たまにテンションが高いときがあるけれど、乱れるなんてことはなく、すごいなあ、と尊敬してしまう。仕事ではがんがんばんばん飲むのに、プライベート、外へ出たら一滴も飲まないところもまた、興味深く、「まどかさん」という存在を確立しているなあと、ますます私は勝手に一目置くのである。

 

まどかさんはワインもいける口のようで、どのくらい飲んでいたのかはわからなかったけれど、ふふふ、といつもと変わらずKBさんとおしゃべりをしながらお酒を飲んでいた。同席していたみかさんは酔っ払っていた。

 

 

ボックス席には若めの人が6人できて、最初こそは静かだったのに、カラオケを歌いはじめた途端に騒がしくなって、端に座ったお客さんと話していてもうるさくて聞こえないというのが何回もあり、つまらないわうるさいわでほとんどそちらの方へは行かなかった。やっぱり大人な色気のあるひとがすきだなあ…などとぼんやり思い、HYさんやMKさんあたり、来てくれないかなあ、と願ったりしていた。

 

 

YMさんはたまにくる。先々週もきてくれて、ひとりで飲み、今日はかすみさんがついた。お客さんの多さに、かすみさんは行ったり来たりしていたので、少し私はYMさんとおしゃべりをする。ご飯の話に花が咲く。いつも美味しそうなものを食べ、飲んでいるYMさんの、見せてくれる料理の写真を見るのがすきだ。この日も、九段下にあるパスタ屋さんや、新橋のガード下の飲み屋などの最近の食べ物についておしゃべりをする。ルーベンス展にいったらしく、パリのルーヴル美術館でみたモナリザをみせてくれた。私も今年の2月にいきましたと同じく写真を見せあっていたところへ、かすみさんが戻ってきた。私は洗い物をしたり、KKさんと少ししゃべったりと、これまた行ったり来たりしていた。

 

 

23時半前に、団体のひとりからタバコを買ってきてくれと買い物に行ってすぐ団体が帰り、何人かも終電だからと帰り、私は、ママさんが「先生」とよぶMEさんと初対面ながら西荻窪などの話をしてワインをいただいた。ママさんはあっちゃこっちゃしていて忙しい。ボックスの片付けも、カウンターの片付けもなにもできず気になったけれど、ワインを早い時間で飲んでいたせいか、眠くなってきている。からだが軽くないことに、片付けの億劫さがうまれる。ママさんはお会計したりお客さんのお見送りをしたりして、私はMEさんと話しながら、みかさんが洗ってくれるグラスを拭くなどしていた。

 

 

カシューナッツのMRさんを最後に、私とママさんとみかさんだけが残り、ママさんはビールの上にボジョレーも飲んでいた。ママさんがワインを、味見、といって少しだけ飲むのは何度かみていて、それ以上注ぐと目で制されるのであまりワインを好まないのだと思っていたのだけれど、昨日はカシューナッツのMRさんがワインを飲まない代わりにママさんがふつうにぐいーと飲んでいたので、少しばかり驚く。酔っ払っているんだろうなあと思いながら、私は自分の適量を守りながら、最後の一口を残して洗い物に専念する。

 

 

大ママから電話がかかってきたので、ママさんを残してひとりでタクシーに乗って帰れることになった。HYさんは来週きてくれるらしい。楽しみだな、そういうときに楽しく心地よく酔っ払いたいなと思う。

タクシーを降ろされ、迷子inローマ(カパネール)

ローマのタクシーにて。「カパネールホテルへお願いします!」「オッケー」

数分後、

「ナンバーは?」「え?」「カパネールのどこ?」「いやあの、ホテルです、カパネールホテル」「なにそれ知らない」「え」「カパネールのどこ?番号は?」「え、なにそれ知らない…」

 

 

すでに見覚えのある道を走っているのに、どこだかわからない。たしかどこかで一本曲がるはずなのに、場所がわからない。どうしよう。カパネールはあっているんだけれど、そのカパネールというのは通りの名前であって、住所、つまり番地とかそういう「ナンバー」を、このドライバーさんは聞いているわけで、でも私はそんなことわからなくて、とりあえず「カパネールホテル 88」という住所しか知らなくて、そんなこんなしているうちに見知った道を通り過ぎてしまい、そして運賃メーターもどんどん上がって、しまいには手持ちの20ユーロを越して22ユーロになってしまった。

 

「ああ、もう、ノーマネー!アイドントハヴ・マネー!」

もはや半狂乱状態であった。ホテルにたどり着けない上に、本当にお金が底をついてしまっただけでなく、払えないことに。ここはどこ。集合時間はもうすぐだ。とりあえず、ここで降りてくれと言われる。なんてこった。すると、ドライバーが気の毒に思ったのか、20ユーロでいいから、と言ってくれた。20ユーロを払い、周りにはレストランが二軒、向かいにポツンとあるだけでなにもない。ゴダールの映画「ウィークエンド」での車事故シーンのような、「パリ、テキサス」のあの砂漠のような、「スワロウテイル」で偽札をばらまくシーンの時のような、あんな感じの雰囲気の場所にいたと思ってほしい。そこはもの悲しく、寂しさのある、少々不安になる道なりであった。立ち尽くす私に、ドラマのように雨が降ってくる。日本語で、どうしようどうしようと声が漏れながら、心臓はドキドキしているのに、頭はなぜか冷静で、多分状況的にやばすぎて本能ががんばってくれていたんだと思う、とりあえずひとに聞くしかない、なんとかしてホテルを聞こう、最悪スマホの電波を4Gに繋げて添乗員さんに電話をして迎えにきてもらおう、と考えていた。

 

 

通りにあったステーキハウスへ入ると、ランチ終わりの時間帯か、人がいなくて、受付にいたひとになんとか聞いても、わからない、と3人にも言われてしまった。もうこの時点で集合時間の5分前だった。さっさと出て、その向かいのレストランに飛び込む。

 

入って左側にいた女の店員さんに、カパネールホテルはどこですかと尋ねる。声も手も震えていた私を見て、店員さんはどうしたの、と心配してくれたのだけれど、それどころじゃなくて、とりあえずホテルの場所を聞きまくる。そしたら他の店員さんもきてくれたので、ホテルの場所を聞くも、私は半ばパニック状態になっていた。お水飲む?と言ってくれたのも断り、ただひたすらカパネールホテルの場所を聞く。

 

 

すると、レストランのドアの右側にあるテーブルに座っていたお客さんたちが集まってきて、女の人がどうしたの?と声をかけてくれた。ホテルに行きたいんだと言ったら、「ここからじゃ遠すぎる、タクシーは?」もうお金がないんです。「ここまでどうやってきたの?」タクシーで。「どこで降りたの?」そこらへんで…。

そして、タクシーの出来事をたどたどしながらも話す。「He said...he don`t know hotel」という風に、英検準二級取得者さながら、文法もめちゃめちゃなままで状況を伝えた。そしたら、その女の人の旦那さんらしき人も出てきてくれて、「ここからじゃ遠い、Long long road!」と言われる。もう、おおむねの方向を聞いて、そっちの方へ行くしかない、大丈夫、大丈夫じゃないけど、runningする!を答え、ありがとう、ごめんなさいと伝えて去ろうとした…。

 

 

f:id:tearosejuli:20181116122509j:plain(この時はまだ、タクシー乗車に同行してくれる同じツアー参加者を探していた時に撮った、不安を煽る曇り空とローマの街並みです。全然楽しめなかったな…)